振袖姿の女性をキレイに撮りたい! いつも食レポ写真ばかりの私が初めてのポートレート撮影で気をつけたこと

カメラ

突然の連絡でした。

「今度、婚活パーティを開催するんだ。写真撮れるよね。振袖姿の女性を記念撮影して欲しいんだ。人数?20人だよ。よろしく頼むよ!」

 

悩んだ挙句、引き受けることにしました。

いつも食レポ写真ばっかりの私が初めてのポートレート撮影で気をつけたことを紹介します。

 

私の写真経験・技術

最初に私の写真経験を書いておきましょう。

私の写真経験・技術は趣味レベルです。学校で習ったり誰かに教わったりはしていません。独学です。

社会人になってから、高級コンデジ「EOS DIGITAL(初代)」を買ったのをきっかけに写真が趣味になりました。しばらくはGR DIGITALで遊んでいましたが、後に、一眼レフに興味を持ちました。当時はまだミラーレスなど存在しなく、一眼レフも大きいカメラばかりでした。手の小さい私に持てたのはEOS Kissだけ。最初に買った一眼レフはEOS Kiss X2でした。飽きっぽい私も写真だけは長く続きます。X2がちょっと古いな、バリアングルモニタ欲しいなと思った頃にEOS Kiss X7iにお乗り換え。使うのは相変わらずエントリーモデルだけれども写真の趣味は長続きしています。

 

主な被写体は食べ物。

ブログ「北本日記」で食レポをしているからです。逆に食べ物以外はめったに撮りません。ポートレート(人物撮影)にも興味はありましたが、コミュ症の自分にはいかんせん、ハードルの高い被写体でした。ポートレートLvは1です。

 

女性の記念撮影を簡単に引き受けて、大丈夫?

振り袖写真撮ってくれない?

と言われて真っ先に頭をよぎったのがこちらの記事。

結婚式の撮影を依頼されても絶対に引き受けてはいけない4つの理由

 

実は上記記事、以前に読んでました。読んで、絶対に引き受けてはいかん、と思ったものです。

振り袖も同じ系統じゃないか。であるならば、ポートレートLv1が受けていいクエストではないのです。

 

電話越しに確認します。

(以下、意訳)

日記「ウェディングカメラマンってあるじゃないですか。ああいう系統ですよね、これ。失敗したらあかんヤツじゃないんですか。」

相手「いや。そんなことないよ。メインは婚活パーティそのもの。振り袖が着られること、写真撮影はおまけみたいなもんだから。撮れてればOK,OK!」

日記「うむううう。。そもそも、そっちにはプロカメラマンいるじゃないですか。その人には頼まないの?」

相手「確かに。あの人は上手い。ただ、風景や電車が好きみたいで、人物撮影はあまり好きじゃないみたいなんだよねー。」

日記「なるほど。それでこっちに話が回ってきた、と。」

相手「そう! だから、頼むよ、な!」

 

せっかくの振袖姿。おまけで済ませていいわけはありません。

とは言え、話をして少し考えが整理出来てきました。

 

  • 結婚式は一度限りのもの。本当に失敗はできない。一方、婚活パーティはそもそも出逢いが目的。着物の写真が残れば記念になる。が、そこまで重視はしない(ハズ)。
  • 婚活パーティの参加費は知っている。良心的価格。写真はおまけって言っていいほどの価格。参加者も写真にゼッタイを求めてはこない(だろう)。
  • 私自身、ポートレートは撮れるようになりたいと思っていた。これはチャンス。

 

受けてもいいかな。

私自身も最善を尽くそう。腹をくくって受けることにしました。

 

準備

振袖姿ってどうやって撮ればいいの?

振り袖以前に人物撮影のコツを知らないとダメだ。

 

というわけでネットと本で調べてみました。

 

ネット情報

本情報

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  • フォトコン 人物特集している号
  • Photographers File 2014
  • ガーリッシュ・ポートレート 撮影講座

 

ガーリッシュ・ポートレート撮影講座は急遽買いました。

良かった点は以下の通り。

  • 12章から構成されていて各章テーマが決まっていて「#4コミュニケーション、#5ポージング、#10屋内」の3つが今回の振り袖撮影に活かせそう。
  • カメラマンとモデルさんの距離感・位置関係のわかる解説がついていること。
  • カメラマンとモデルの対話が載っていて、「どんな会話をしてこの写真は撮られたのか」がわかる。
  • 最後の付録「女の子に知ったかぶりするためのファッション用語解説」が地味に嬉しい。
    • 具体的にはこんな用語が収録されています。
    • 甘辛コーデ/甘辛テイスト、ウェッジソール、Aライン、オーガンジー、カットソー、キャミソール、きれいめカジュアル、ギンガムチェック、コーデュロイ、シフォン、スキニーパンツ、ダメージデニム、チュールスカート、チュニック、チルデンニット、付け襟、ティアードスカート、デコルテ、バンドゥビキニ、ビーニー、ビスチェ、ブラウジング、フリンジ、ポインテッドトゥ、ボーイズミックス、ボタニカル柄、マキシワンピ、マニッシュ、ミモレ丈スカート、ライダースジャケット、レースアップシューズ、ローゲージ
    • オシャレがさっぱりわからない自分は「わがままファッション ガールズモード」で勉強するしか無いと思ってましたが、上記用語集のおかげで、最低限の知識は身につきました。
    • ま、実践編で活用することはなかったんですけど。

 

婚活パーティの企画書をよく読んで、趣旨や全体感を把握

今回頼まれたのは写真撮影だけ。○時〜○時にいてくれればOK。

と言われました。

ちょっと待って。それで大丈夫?

 

趣旨や全体感、ほかに誰が来るかわからないと、困ります。

ということで、主催者に企画書をもらいました。企画書を読めば、対象者の年齢幅、参加費、参加人数、当日のスケジュール、イベント内容、予算収支等がわかります。これらを踏まえて、自分の段取りを考えてみました。

 

どうやら

  • 女性は20人来る。
  • 私服で来てもらい、到着次第、振り袖に着替える(着付け師が着せてくれる)。
  • 着付け師は10人いる。10人1セット2交代で全員を着つける。
  • 振袖姿の撮影は、着付けが完了した人から順番に行う。
  • 写真撮影は次のイベントが始まるまでの1時間以内に完了させる必要がある。

ということがわかりました。

 

女性1人にどれだけの時間を割けるのか。

60分 / 20人 = 3分/人

 

なんと。たったの3分しかない。3分でなにができるか、なにをすべきか。

整理したのがこちら。

 No. 流れ 内容
 1 あいさつ こんにちは。△△と申します。
 2 名前聞き (まずは)名前を教えて下さい。

○○さんですね。よろしくお願いします。

 3  撮影 立ち方両足を揃えてかかと側を拳一つ分開き背筋を伸ばす

・立ちポーズ(左肩を前に出す30〜40度 顎を引く)

・振り袖を広げるポーズ(袖口を軽く持って)

・後ろ姿

・帯見せポーズ(見返り美人)

 4  あいさつ 以上で終了です。

ありがとうございました。楽しんできてくださいね!

さっさと撮らなきゃいけないのだけど、いきなり撮り始めたらお互い緊張しちゃうでしょ、ということで挨拶をいれとく。名前で呼ばれたほうが親しみ持ってもらえるかな、ということで名前を聞いて呼んでみる。正面だけ撮ってオシマイ、ってのも寂しいので4つパターンを考えてみた。リズミカルにポンポン撮ろう。定型化すれば効率よく、それでいて(一枚くらいは)いい表情が撮れるかもしれない。

 

Google ドキュメントにまとめて印刷した。

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機材

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  • Canon EOS Kiss X7i
  • EF-S18-135 IS STM
  • スピードライト320EX
  • 三脚
  • レリーズ

 

コスプレ撮影会にはフルサイズ原理主義ってのがあるらしいです。EOS Kiss はAPS-Cです。エントリーモデルです。一眼レフなら”それっぽく”見えるよね。 えーフルサイズじゃないの!って言われないことを祈るのみ。

コスプレ撮影の“フルサイズ原理主義”に一石を投じる(?)記事が話題に

 

撮影練習

 

いきなり”人”相手はキツイですからね。ポートレート撮影Lv1には練習が必要です。

というわけで、ぬいぐるみで練習してみました。

 

まずは正面から。

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正面アップで。

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振り袖を広げるポーズは出来ないので・・・飛ばします。

 

後ろ姿。

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後ろ姿アップ。

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見返り美人風(見返りさせようとしたら首がモゲそうになったのでやめました)

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見返り美人風アップ。

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位置関係

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「いいよー 」「可愛いよー」「服、似合ってるよ!」「ヘタの角度が最高!」なんて呼びかけてみるのも練習になるかもしれません。さすがにやりませんでしたが。

 

実践

さて、実践です。

少し早めに現地入りです。遅れたらマズイですし、現地の状況を把握しておきたいですからね。

 

撮影場所の確認

どんな撮影環境なのか場所を確認します。

本当は前日までに済ませておくべきでしたが、時間の都合で当日実施です。

 

撮影場所は集会室です。奥の舞台で撮影することになります。

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臙脂の幕がいい背景になりそうです。

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この台が重要です。元々この場所にはなかったのですけど、引っ張り出してきて配置しました。15cmほどの高さがあります。

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舞台から見て、奥の左右に照明があります。

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こんな照明です。

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撮影環境の設定

撮影場所の確認が済みました。どんなふうに撮影するかを決定します。

こうします。

  • 撮影場所は舞台。
  • 被写体の女性には舞台の中央に立ってもらう。
  • 舞台の天井のスポットライトは使う。
  • 舞台の手前、左右にある2つの照明は使わない(試しに使ってみたら影が大きく出てしまったため)。
  • 光量不足は、カメラのクリップオンストロボで補う。直射ではなく斜め上向けのバウンス。
  • マニュアルモード(1/30, F8.0
    • マニュアルモードにしたのは毎回同じ設定で撮影したいため。事前にテストモデルを配置して適切な数値を決めておく。撮影中は一度決めた数値をいじらない。
  • 焦点距離は、全身35mm(56mm換算)、アップ80mm(128mm換算)
  • 撮影者(自分)は舞台に配置した台の上から撮影。被写体までの距離は約1.5m。

 

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マニュアルモード

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1/30, F8.0

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縦向きで撮るのでストロボの向きはこんな感じ。

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全身撮影の場合は35mm。

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全身撮影の場合は80mm。

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意外とウケた「身長低くてかさ増しで台使ってるんです」 コミュニケーションにアイスブレイクは大事

振り袖女子を撮るときに重要なのは少し上から撮ってあげること。少し上から撮ったほうがスラっと見えるのです。

で、問題なのが私の身長。160cmです。決して大きくはない。

そこで役立つのがこいつです。

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15cmくらいあります。この台にさえ乗れば175cm相当です。上から撮れるよ、やったね。

 

面白かったのは、毎回撮影を始める前に「なぜこの台に乗って撮影するのか」を説明すると笑ってくれたんですよね。

だれ、この小さいカメラ持った人ってトコから始まるんですけど、台の説明をすると、距離がスッと縮まる。これはいわゆるアイスブレイクですね。

最初は真面目に説明していたんですが、何回も説明するうちに、持ちネタのようになってきたんですよね。ポートレート撮影は最初に笑ってもらうこと、会話のきっかけを作るって大事ですね。そういう意味では台がとても役立ちました。

 

振り袖女子20名撮り終えてのまとめ

着付けの終わった方から順番に撮影にやってきます。

最初は私も緊張してしまいましたが、次第に慣れてきました。

 

1時間はあっという間でした。20人撮ってのまとめです。

  • 相手は人。コミュニケーションをとることが大事。
  • なんでもいいから褒める。
    • 小さければ可愛らしいと言う
    • 着物の色を言って、似合っていると言う
  • 撮っている間も褒める。
    • 言葉が続かなくても、形容すべき言葉が浮かばなくても、撮りながらなにか言う。例え「いいですね〜」の一言であっても、言われたことにモデルは悪い気はしない。
  • 自分も楽しく笑顔で。
  • 撮影のポーズは自分がやってみせる
    • 自分がモデルの立つ場所に立って4つのポーズをやってみせる。すると、だいたいの人は求められていることを理解して、真似してやってくれる。
  • 相手がポーズに困った素振りを見せたら、撮り続けない、いったん撮影を止める。どんなポーズをしてほしいか言葉や身振りで伝える。
  • 撮影が終わったら「ありがとうございました」で締める。

 

反省すべきこともありました。

  • 名前と顔が一致させられなかった。
    • 名前を撮影前に聞いていました。でもこれはコミュニケーションを撮ることが目的だったので逐次記録はしていませんでした。
    • 撮影が一通り終わったあとで、名前と撮影写真を一致させる方法がないことに気づきました。
    • 結局、20人に対して、着物写真との照合用に、名札を掲げて顔写真を撮らせてもらいました。
    • 次回は、最初から名前と撮影写真を一致させる仕組みを用意すべきです。
  • 会話ネタは相手を見て選べ。「身長低くてかさ増ししてます」が誰にでもウケるわけではない。
    • 大半の人にはウケたんですよ。
    • が、背の高めな一部の方からの反応がイマイチでした。どういうことか。
    • 「あんたの背が高いからかさ増ししないと撮れないんだよ」って聞こえたんだと思います。
    • ハッキリとした嫌悪感ではありませんが、ちょっとだけ表情が曇ったように見えました。
    • 会話のネタは相手を見て選ばないといけませんね。

 

まとめ

ポートレートは難しいです。失敗が許されません。被写体の魅力を最大限に引き出すのは撮影側の努めですね。

いつも食レポ写真ばっかり撮っている私がポートレート撮影で気をつけたことをまとめました。ポートレート撮影の参考になれば幸いです。

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